ファーストリリース

いけばなラボをようやく公開することができました。もちろん、これで完成したという訳ではなく、「やっとスタート地点に立てたな」という感覚のほうが強いです。開発の中で実現できたこともありますが、同時に、まだまだ改善したいところがたくさん見えてきました。

今回の開発では、テストに参加してくださった方々や、身近で実際に触って意見をくれた方々、アイデアを出してくれた友人知人など、多くの人に助けていただきました。いただいたフィードバックは、どれも開発を進める上で欠かせないものでした。この場を借りて、あらためて感謝申し上げます。

思い返せば、「こういうアプリがあったら面白いかも」というふとした思いつきから始まりました。そこから大まかな構想を作り、必要な画面を裏紙にラフで描き、それをデザインファイルに落とし込み、さらにコードにしていく──そんな地道な積み重ねで形にしてきました。実際に3Dモデルを開発し、アプリに組み込んでいく過程は簡単ではありませんでした。

開発着手当初にはいけばなの右も左もわからない状態からいけばなのお稽古に通い始め、今ではすっかりはまっています。

開発中は、ずっと作っては壊し、また作り直して、ということの繰り返しでした。「これでいける」と思って作ったものでも、時間が経って触り直すと「あれ?」となることがたくさんありました。そうした積み重ねの末にファーストリリースを迎えたわけですが、実際に出してみると改善したい部分が思っていた以上に見えてきて、むしろ今のほうが「もっと良くしたい」という気持ちが強いです。そういう意味でも、このタイミングで一度リリースできたことは良かったなと感じています。

実際に触ってもらって見えてきたこと

開発の途中で実際に目の前でアプリを触ってもらう機会が何度かありました。同じ部分で何人もが迷っている様子を目の当たりにして、自分では気づけていなかった問題がいくつも見えてきました。

たとえば、作成画面のパネルの開閉が分かりづらかったり、作品を完了してアップロードするまでの導線が伝わりにくかったり、細かなところで混乱が起きているのを目の当たりにしました。英語版についても、英語ネイティブの方から「普段はこういう言い方はあまりしない」と教えていただき、より自然な表現に改善することができました。

こうした気づきは実際に触っている姿を見ないと得られないものでした。

東京で対面して話したこと

リリース前後のタイミングで東京に行き、今回のモデル制作者と直接お会いしました。また、つないでくださった方にもお会いして、いろいろと話をすることができました。

これまではオンラインで開発を進めてきましたが、実際に会って話すことで、自分が2026年に向けて何を考えていて、どの方向に向かって開発したいのかを、相手にしっかり伝えられたことが大きかったです。また、対面で話す中で新しいアイデアをいただいたり、これまで曖昧だった部分が明確になったりして、今後の道筋がよりはっきり見えてきました。

一緒にアプリをつくっていくチームとして、またひとつ基盤が強くなったように感じています。東京に行って直接話ができて、本当に良かったと思っています。

今後の開発の方向性

いけばなラボは、ただ作品を作って終わるアプリにするつもりはありません。 いけばなに触れたことがなかった方、教養として文化を学びたい方、海外のユーザー、すでにお稽古されている方、アートとして自由に楽しみたい方──それぞれが違う関心や目的を持っています。

ユーザーをひとつの層に限定するのではなく、それぞれの層にとって自然に使い始められるような体験を目指していきたいと思っています。もちろん簡単ではありませんが、各層にしっかり刺さる機能を積み重ねていけば、少しずつ形にできるはずです。

いけばなに触れたことがない方には、「いけばなとはどういうものなのか?」という部分を、負担にならない形で少しずつ学べる仕組みを用意したいと考えています。文化の背景や基礎知識が自然に理解できるような導線をつくり、日々の中で少しずつ教養として身についていくような形を目指しています。

一方で、実際にいけばなをされている方々には、より自由にアイデアを試せる場として活用してほしいと思っています。参考写真を見ながら作品を作ることを通して様々な型を学べるようなモードや、旅館風の部屋や床の間に飾れる和室モードなど、段階的に制作の幅が広がっていくような体験を提供したいと考えています。

また、好みの作品を選んでいくことで、自分の美意識がどの流派に近いかが分かるようなモードも検討しています。流派については誤りのないよう、関係者の方にお話を伺いながら進めれたらと考えています。

生け花の魅力は「同じものが一つとしてない」という点だけでなく、それぞれのお花をどう輝かせるかを考えながら向き合うところにもあると思っています。デジタルでは完全に再現するのは難しい部分もありますが、個性を出せるような表情パターンなどを取り入れながら、より多彩な表現が出来るアプリへと少しずつしていきたいと思っています。

そのほか、花材・花器・色のバリエーション、スタイルモードの拡張といった圧倒的なコンテンツ強化に加えて、ライトの調整機能や加工素材・異質素材の追加、敷台/花台の導入など、表現力を高めるアップデートも並行して進めていきます。また、その他の細かなUI/UX改善にも継続的に取り組んでいきます。

マーケティングについて

これまではほとんど開発に集中してきましたが、ここからはマーケティングにも力を入れていきます。

まず、ASO(App Store Optimization)をしっかり行い、どのキーワードでどんな方に届いてほしいのかを考えながら、アプリの紹介文や検索対策を整えていく必要があります。特に、このアプリのコンセプトのひとつである、いけばな人口の裾野を広げる点においても、いけばなを教養として学びたい大人の方にしっかり届くような内容にしていくことが重要だと感じています。

また、生け花を始めようとしている経営者の方が一定数いるという話も聞くので、そういった層にも届くような発信方法も考えていく予定です。

私自身SNSはあまり得意ではないのですが、アプリの魅力をもっと多くの人に届けるためにも、花材やモデル制作の様子、作品づくりの過程などを動画で発信できればと思っています。少しずつですが、そういった取り組みにも着手していくつもりです。

2026年は、開発と同じくらいマーケティングにも力を入れ、両輪でアプリを育てていきたいと考えています。

2026年に向けて

2026年は、新しい機能を増やすことだけに重点を置くのではなく、これからアプリ全体が大きく発展していくための“土台をしっかり整える年”にしたいと考えています。

そのうえで、コンテンツ自体もさらに作り込んでいきます。 これまで生け花に触れたことがない方には、文化や基礎知識を無理なく理解できる導線を用意し、実際にいけばなをされている方には、表現の幅が広がるように花材・花器・色のバリエーションやスタイルモードを引き続き強化していきます。海外の方には、日本文化としてのいけばながより伝わりやすい見せ方を工夫し、必要な部分は専門家の方々に監修をお願いしながら、質の高い内容に整えていく予定です。

また、いろいろな層のユーザーにしっかり刺さる機能を完成させていくことも大事だと感じています。 「文化として学びたい方」「自由に作品づくりを楽しみたい方」「実際にいけばなをしている方」など、それぞれの人が自然に使える形を丁寧に整えていきます。

そしてもう一つ大きな柱になるのが、マーケティングです。 一つ前のセクションで書きましたが、2026年はアプリをより多くの方に知っていただくための活動にも力を入れていきます。ASO や SNS での発信など、できることを一つずつ取り組んでいくつもりです。

その上で、新しいデバイスへの展開にも挑戦します。 特にご要望の多かった Android 版 については、iOS 版でアプリの形がしっかり固まってから着手する予定です。その方が手戻りが少なくなるためです。できる限り早い段階で準備を進め、2026年中には開発を開始したい と考えています。 また、VR デバイスなど、より幅広い環境で生け花を体験できる形についても可能な範囲から少しずつ挑戦していくつもりです。

リリースはひとつの区切りではありますが、やっぱり「ここからが本番」だと感じています。焦らず丁寧に、より良い形へ育てていきたいと思っています。

最後に

2026年も引き続き、いけばなラボを良くしていくためにコツコツ開発を続けていきますので、ぜひApp Storeで前向きなレビューを投稿していただけるとありがたいです。

また、「ここを直したほうがいい」など気になる点があれば、公式サイトのお問い合わせから送っていただけると助かります。

そして最後に── このアプリの大きな目的のひとつは、一人でも多くの方にいけばなに興味を持ってもらうことです。 いけばなの魅力や奥深さに触れる人が増え、生け花人口の裾野が広がるきっかけになれたら嬉しいです。そのためにも、今後もしっかりアプリを育てていきます。

これからも引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。