3Dいけばなアプリは存在しなかった
市場調査
大抵新規サービスを考えて何かしらのアイデアが思いついたとき、それは、すでに誰かがやっている場合がほとんどです。サービスを開発した経験のある方なら納得頂けるかと思います。
なので、まずは似たようなアプリがないかを調べてみようと思い、App StoreやGoogle Play Storeで「いけばな」とか「flower arrangement」とか、思いつく限りのキーワードで検索しました。
結果はゼロでした。
いけばなを題材にしたものはいくつかありましたが、3Dでいけばなを体験できるアプリはひとつもありませんでした。
しかし、類似アプリが存在しないからといって安心はできません。類似アプリが存在しない理由が絶対にあるからです。
同じようなアイデアを思いつく人は1万人いる、実際に作ってみようと思う人はその内1% 100人はいる、実際に最後まで作り切る人はその内1% 1人だけ。開発は難航するだろうなと思いました。
例えばYouTubeでいけばなのことを学ぼうとすると、ところどころ3Dでいけばなができたらな、というアイデアを話している方の動画をひとつ見つけました。
アイデアそれ自体に価値はなくて(もちろんゼロではない)、ただそれよりも実際に作り切ることが何よりも重要。作ってリリースして初めて価値を生む可能性を持つことができるから。
市場調査の結果、「競合はいないけど需要がどこまであるか分からない」という状態でした。普通なら怖くて手を出しにくい領域かもしれません。
でも、逆に考えると「だからこそ大企業が参入する可能性は低く、個人開発でも可能性がある」とも考えることができました。 誰も挑戦していない場所に、自分のアイデアをぶつけてみる。それがこのアプリの立ち位置になりました。
何はともあれ類似アプリはなくても、何も安心できない、むしろ作りきれるか不安でしかなかったです。その不安を払拭するためにも、次は技術検証へと進んでいきました。
技術検証
自分には作りきれる、この方向性で進んで言えば良い、そう思えるためにはまずはアプリ内で3Dデータの操作を学ぶ必要がありました。
コンセプトもまだほとんど形になっていない、3Dデータを使ったアプリ開発もやったことない、いけばなも習いたてで全然わからない、そんな状況でした。
Apple Design Resourcesというサイトには、様々なデザインファイルだったりが公開されています。Apple Vision Proが発売されたこともあり、3Dのサンプルデータも公開されていたので、まずはそのファイルをダウンロードし、アプリに組み込み、操作を学んでみました。
オブジェクトを移動させたり、回転させたり、拡大縮小させたり、一部分への操作や部分削除、複製など。操作性はこの時点では二の次ですが、様々な操作がやろうと思えばできるということがわかりました。
いけばなを実際に行う中で、切る・撓める(ためる)・などの基本操作をアプリでどのように実現できるのか、考えながら最低限の操作をアプリで実装していきました。
3Dデータの特性上、撓める(ためる)、要は曲げたり形を変形すること、はかなり難しいということが判明しましたが、それでもデジタルで大部分のことはできるという確信を持つことができました。
開発を進められると思いました。
技術的にはできなくはない、となりましたが、まだまだアプリを開発するにあたって、様々な課題があります。
どんなお花の3Dを作るか?どうやって作るか?いけばな初心者である私は、まだまだお花の知識もなく、3Dのデータを作ったこともない。開発の壁がでかすぎると感じました。
わからないことだらけで、開発をやめるポイントの一つでした。