いけばなラボ開発のきっかけ

あるドラマがきっかけでした

2024年の6月ごろ、とあるドラマが話題になっていました。詳細は省きますが、主人公が30代の男性で、いけばなを習っているという設定でした。正直、自分の人生で「いけばな」に触れる機会なんて一度もなかったし、完全に自分とは縁遠いものだと思っていました。植物に興味を示すこともそれまでは特にありませんでした。

でも、そのドラマを見ていて、「いけばなか…ちょっとやってみたいな」と、なぜか心が引っかかりました。普段なら流して終わるようなシーンだったはずなのに、そのときは妙に気になりました。

「これをもしデジタルで、3Dで体験できたら面白いんじゃないか?」

そう思った瞬間から、頭の中で少しずつ具体的なイメージが膨らんでいきました。これが「いけばなラボ」を作ることにつながる最初のきっかけでした。

人生で熱中できるもの

当時の自分は、人生の時間を何に使うかを悩んでいました。以前はアプリ開発にどっぷり浸かって、寝る間も惜しんでコードを書いていたけど、宮崎に移住してからはサーフィンにのめり込みました。毎日海に入って、波に乗る時間は本当に楽しい。今でもそれは続けています。

でも、心のどこかで「これだけじゃないよな」と思っていました。サーフィンは生き方の一部にはなったけど、何かに“人生をかける”って意味では少し足りない感覚があったんです。

人生で熱中できるものを探して、地元の経営者の人たちと話すと、みんな「なんでこの事業をやっているのか」という問いに対して、様々経緯や考えを持っていました。その姿を見て、自分はどうだろう…と考え込む日々。そんなときに、たまたまドラマを見て「いけばなか、やってみたい」と思ったわけです。

ゼロイチの難しさと最初の一歩

ただ、やりたいと思ったからといって簡単に形になるわけじゃありません。むしろここからが一番大変でした。いわゆる「ゼロイチ」の部分です。何を作るか、どうやって形にするか。そこが一番難しい。

正直なところ、3Dのデータを扱った開発はしたことないし、無理かもしれないと思う瞬間は何度もありました。アプリ開発にはずっと携わってきましたが、3Dは未知の領域。自分にできるのか?と考えながらも、ひとまずスマホアプリ上で3Dデータの操作を試してみることにしました。

アプリで技術検証を進める傍ら、机に向かって紙に殴り書きしたり、スケッチしてみたり、散歩しながら頭の中で考えたり。コードを書く時間よりも、何をどう作るか悩んでいる時間の方が圧倒的に長かったです。でも、そうやって試行錯誤している時間自体は嫌いじゃなくて、「やっぱりものづくりってこういうところから始まるんだよな」と感じてもいました。

ほんの小さな始まり

振り返ってみると、本当にちょっとしたことがきっかけでした。たまたま見たドラマで、主人公がいけばなをしていただけ。もしあのときあのドラマを見ていなければ、このアプリはきっと生まれていなかったと思います。

ただ、その小さな心への引っ掛かりを「まあ関係ないや」と流さずに、「ちょっとやってみてもいいかも」と思えたのが大きかったと思います。サーフィンに夢中になっていた生活の中で、また別の熱中できるものを見つけられた。それが「いけばなラボ」という形につながっていったんだなと、今では思っています。